電界結合方式ワイヤレス給電の技術解説

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電界結合方式ワイヤレス給電の仕組み

電界結合方式のワイヤレス給電は、送電側と受電側にそれぞれ電極を設置し、この電極同士が接近した時に形成されるキャパシタを利用してエネルギーを伝送する技術のことです。



以下のフロー図ように、送電側の電極へ高周波の電気を流すと、電荷の移動が発生することで、電流が流れます。対向する受電電極へも高周波の電気が流れますので、受電側の回路で整流をして直流へ変換して使用するのが一般的です。


電界結合方式のワイヤレス給電における重要なパラメーター

電界結合方式ワイヤレス給電の基本原理はコンデンサ(キャパシタ)と同じです。その為、コンデンサの特性が電界結合の電力伝送能力と密接に関係しています。

以下の図はコンデンサの構造図です。コンデンサでは、【Q=CV】という公式が成り立ちます。
※Q:電荷(電気量)、C:静電容量、V:電圧

つまり、より大きな電気量を送る為には、静電容量Cを上げるか、電圧Vを上げる必要があります。



では、静電容量(C)や電圧(V)を上げる為にはどうすればよいのでしょうか?

静電容量(C)は、【C=εS/d】の公式により求める事が可能です。
※ε:誘電率、S:電極面積、d:電極間距離

つまり、
1:より誘電率の高い材料を使う
2:より電極面積を大きくする
3:より電極間距離を狭くする
ことで、静電容量(C)を高める事が可能です。

電圧(V)は、送電側の電源回路において共振回路を用いることで、電極へより高い電圧を印加することが一般的です。共振回路は、直列共振回路、並列共振回路など方式が複数あり、各社研究を進めています。

電界結合方式の場合、誘電率(ε)が低く、電極間距離(d)も大きくなりがちな為、一般的に静電容量(C)を高める事が難しいです。その為、電圧(V)を高くしないと電力伝送が成立せず、磁界方式と比較すると高電圧になるケースが多くなります。


電界結合方式のワイヤレス給電における電源駆動周波数

電界結合方式のワイヤレス給電では、6.78MHz帯や13.56MHz帯、それ以上など比較的高い周波数が用いられることが多くなっています。一方、磁界方式では80kHz程度の周波数帯も多く存在します。電界結合方式でも同様にKHz帯で構築することは難しいのでしょうか?

ここでも、コンデンサの特性が関連します。以下の図はコンデンサの周波数特性図となっており、横軸は周波数(f)、縦軸はインピーダンス(Z)です。
インピーダンスは交流に対する抵抗のようなもので、周波数fが低いほどインピーダンスが上がる為、電気が流れずらくなります。その為、80kHz程度の周波数では、インピーダンスが大きすぎて、電力伝送が難しく、比較的高い周波数が用いられることが多くなるのです。



※コンデンサには実際、インダクタンス成分(L)が含まれる為、青線のような特性となり、極小値(Ro)を自己共振周波数と呼びます。


電界結合方式ワイヤレス給電の特徴

磁界方式と比べて時、電界方式はどのような特徴があるのでしょうか?コイルや電極の形状、設計手法により条件が異なる為、一律の比較は難しいのですが、一般的には、電界結合方式のメリットやデメリットとしては以下が挙げられます。

【メリット】
・電極をリニア形状にすることで、水平方向での位置自由度を上げやすい
・磁界を使わない為、金属異物の影響を受けづらい(ただし、電極間を跨ぐと影響あり)
・アンテナ部の軽量化がしやすく、発熱しづらい

【デメリット】
・高周波化する必要があり電源部のコストアップに繋がる
・電極間距離を広げにくい
・誘電率が変わる水などの異物には弱い

特長を理解した上で、用途や環境に合わせて、最適な方式を選択する必要があります。


B&PLUSの電界結合ワイヤレス給電の製作実績

磁界を使ったワイヤレス給電製品は古くから電気製品などでも展開されており、小電力から大電力まで市場でのラインナップは豊富です。しかし、電界結合方式のワイヤレス給電は、企業や大学での研究レベルが主であり、一般的に市場展開している製品はほとんど見られません

しかし、B&PLUSでは、電界結合を使ったワイヤレス給電のプロトタイプ開発や研究を進めてきており、電界結合標準基板ユニットセットや過去の製作実績を御紹介致します。


【電界結合標準基板を使った標準基板セット】



10W級の電界結合ワイヤレス給電が構築できる標準基板セットです。電界結合標準基板セットは、送電基板と受電基板、および2種類の電極で構築されます。マッチング回路を含んだ電極部は用途に合わせて変更することが可能です。
また、電源部は共通化して、今回の電極以外にも専用電極を開発することで、効率的に色々なバリエーションのサンプル構築が可能になります。
電計結合標準基板セット.png

  

電界結合標準基板に関する、詳細はこちらからご覧い頂けます。


【回転用途向けにリング形状電極ユニット】



電極形状をリング状へ変更することで、回転用途などに最適化したモデルです。電極を外径側と内径側に配置することで、回転中も常時給電(約5W)が可能になります。
  
電極は2分割できるようになっており、接合部はマグネットと端子で接続されます。2分割構造により、シャフトなどの回転部へ取付性が大幅に向上します。

  
 
今回のデモ機では、内径φ50㎜、外形φ100㎜で構築しています。コイルでリング構造を構築する場合、コア材が専用になる事が多い為、寸法変更がしにくいのですが、電界結合では電極で構築が出来る為、寸法変更が比較的容易となります。

リング電極形状電界結合ユニットに関する、詳細はこちらからご覧い頂けます。


【複数電極を使ったフリーポジション形状機】



多面電極構造を用いる事で、従来の方式では難しかった受電電極の角度を問わない給電を可能にしました。以下の写真のように電極を多面状で構築することで、いずれかの送電電極部と受電電極部が対向し、360°どの方向でもワイヤレス給電が成立します。

 

多面電極形状電界結合ユニットに関する、詳細はこちらからご覧い頂けます。

      
電界結合技術を使ったサンプル製作を御希望のお客様は、お気軽にお問合せ下さい。
ワイヤレス給電技術に関する各種お問い合わせ (b-plus-kk.jp)

 

 

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