ワイヤレス給電は、国内でも成長戦略の一つとしてテーマに上がり、国を挙げたプロジェクトとして様々なメーカーや大学で研究が進められている世界的にも注目の技術です。今後、様々の分野でワイヤレス給電の発展が予想されますが、その一部をご紹介いたします。
ワイヤレス給電は、スマートフォンの充電のように置くだけ充電が有名ですが、色々なサイズや形状で構築することも可能です。こちらのWEB展示場では、B&PLUSならではのちょっと変わったワイヤレス給電技術をご覧頂けます。
民生機器や生活に密着している一般向けの事例 |
家庭
洗面所、風呂場、台所など水が掛かりやすい場所で扱う家電製品は、ワイヤレス給電の強みである防水性が活かせる分野です。既に電動歯ブラシや電動シェーバーなどでは実用的になっています。スマートフォンはワイヤレス給電の採用が進んでいますが、今後、ノートパソコン、テレビやお掃除ロボットなど大電力帯のワイヤレス充電へ発展が期待されています。
また、スマートフォンなど小型情報機器はポケットやバッグから取り出さなくても、家の中のどこにいても充電できる。部屋の中全てへ給電するなど、広範囲のワイヤレス充電の研究も進められており、将来は充電するという行為をしなくても、気づけば自然に充電されている世の中が来るかも知れません。
オフィスや店舗
USB接続機器へのワイヤレス給電とWifiやBluetoothなどのデータ通信を組み合わせてプリンタやキーボード、マウスなどの情報機器からケーブルもバッテリーもいらなくなります。
サービスロボットや警備ロボットが自動的に充電ステーションへ戻る事で、ワイヤレスでバッテリー充電をする事が出来ます。大手カフェチェーンでは、ワイヤレス充電システムをテーブルへ内蔵し、スマートフォンの置くだけ充電に対応した店舗もあります。
医療ヘルスケア
ペースメーカーへ人体外からワイヤレス充電をすることで電池交換が不要になります。また、カプセルカメラやマイクロマシンなどへのワイヤレス給電で患者の負担軽減、医療用カート、車いす、ストレッチャーはワイヤレス充電により安全で簡便な充電が可能になります。補聴器ではすでにワイヤレス充電機能付きの製品展開が進んでおり、今後ウェアラブルデバイスの普及と共に小型のワイヤレス充電のニーズも高まると予想されます。
電気自動車や自動搬送車、電動モビリティの事例 |
電気自動車
電動モビリティ
電動自転車、キックボードなど電動モビリティの普及に伴い、これらのシェアリングサービスや無人運用が展開されつつあります。その際に、バッテリー充電方法を自動化する最適な手段としてワイヤレス充電があります。B&PLUSでは、アシスト自転車のワイヤレス充電に取り組み、各観光地のシェアサイクルで実用化されています。
『B&PLUSの楽々ワイヤレス充電シェアサイクル』の専用ページはこちらから!
自動搬送車やロボット、ドローンなど
近年、人手不足の影響から、搬送分野での省人化の為、自動走行の電動搬送車や協同ロボットの普及が進んでいます。また、ドローンによる運搬搬送も実験が進められています。バッテリー交換やコネクタ充電に代わる手段として、安心安全なワイヤレスによる自動充電が注目を浴びています。
特殊な設備や人間が立ち入れない場所での事例 |
深海(水中)
ワイヤレス給電には接点がないため、大がかりになりがちな水中での充電作業が簡素化されます。防水性を高めやすいワイヤレス給電の特長を活かすことで、完全防水のワイヤレスコネクタを実現出来ます。
宇宙
人工衛星が受けた太陽光を電波かレーザーに変換して地球上で受信することで地球上のどこでも電力を受け取ることができます。
スマート農業機器の事例 |
農業分野は、泥や水、粉塵が発生する為、コネクタによる充電では危険性が生じる場合があります。そのような場合は、高い防塵防水性能を有するワイヤレスによる充電が有効です。例えば、農業機械のコネクタ部のワイヤレス化や、農業ロボットや散布用ドローンにワイヤレス充電機能を追加することで、無人で自動的に充電させる事ができるようになります。
水田除草用ロボット(アイガモロボット)へのワイヤレス充電の事例
ワイヤレス給電にはどのような規格が存在するのでしょうか?
現状では、代表的なワイヤレス給電規格としては、以下が存在します。
規格名 |
qi |
AirFuel Inductive (旧PowerMat) |
AirFuel Resonant (旧Rezence) |
団体 |
WPC |
AirFuel Alliance |
AirFuel Alliance |
電力 |
~15W |
~5W |
~50W |
方式 (周波数帯) |
電磁誘導方式 (110~205KHz) |
電磁誘導方式 (277~357KHz) |
磁気共鳴方式 (6.78MHz) |
伝送距離 |
~5㎜ |
~5㎜ |
~50㎜ |
qi(チー)規格はスマートフォンなどで採用されているおり、標準規格として、現状では最も広がりを見せています。「qi」は、中国語の「気」が由来で、ワイヤレスワーコンソーシアム(WPC)が策定した規格です。当初最大5Wでしたが、2015年に15Wまで電力帯を拡張させています。伝送距離は最大でも5㎜程度と近距離での電力伝送となります。Mid Power(120W)やHigh Power(1KW)などより大きな電力帯の標準化に向けた動きもあります。
AirFuel Allianceは元々はPMAとA4WPという2団体が統合した団体で、規格は2種類あります。AirFuel Inductiveは、技術的にはQiと似た規格で、スマートフォンの中には、QiとAirFuel Inductiveの両規格に対応した製品もリリースされています。
AirFuel Resonantは、磁気共鳴を使った規格で、伝送距離や軸ズレに強いが、まだ市場投入された製品はありません。このような状況から、現在では、Qiが市場の規格ではリードしている状態です。
その他、国内では、BWF(Broadband Wireless Forum)、WiPoT(Wireless Power Transfer Consortium for Practical Applicastions)、WPMc(Wireless Power Managemento Consortium)などが、ワイヤレス給電の実用化や発展に向け各種活動を実施しています。海外でも、CEA(USA)、TTA(韓国)などが標準規格の取り組みを進めています。
B&PLUSでもqiでの製品実績があります。ただし、規格品の場合、規格同士の互換性は魅力ですが、反面、コイル形状や電力帯など自由度が制限されてしまいます。オリジナルなワイヤレス給電開発が主のB&PLUSでは、独自の方法でお客様に最適なワイヤレス給電の開発が可能です。