ワイヤレス給電には一つの方式だけではなく、 磁界、電界、電磁波などを利用した複数の方式があります。 方式によって、伝送できる距離、電力、効率、 位置ズレへの強さ、サイズ、使用環境などが異なります。
代表的な方式として、 電磁誘導方式、電界結合方式、マイクロ波方式があります。 また、磁界共鳴方式も磁界を利用する方式の一つとして研究・利用されています。
ワイヤレス給電は、 電力を伝える領域や方法によって 大きく「非放射型」と「放射型」に分類できます。
送電側の近くに形成される磁界や電界を利用して 電力を伝送する方式です。 電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界結合方式などが含まれます。 近距離で比較的大きな電力を高効率に伝送する用途に適しています。
電磁波などを空間へ放射し、 離れた場所へ電力を伝送する方式です。 マイクロ波方式などが代表例で、 非放射型より長い距離への電力伝送を検討できます。
B&PLUSでは、 現在広く利用されている電磁誘導方式に加えて、 電界結合方式、マイクロ波方式についても 研究・開発を進めています。
送電側コイルへ電流を流したときに発生する磁界を利用し、 受電側コイルへ誘導電流を発生させて 電力を伝送する方式です。 現在、ワイヤレス給電で最も広く利用されている方式の一つです。
LC共振を利用した磁界共鳴方式も、 磁界を介して電力を伝送する近縁技術として利用されています。
電力を電磁波へ変換して空間へ放射し、 受電側で再び電気へ変換する方式です。 電磁誘導方式や電界結合方式より離れた位置への 電力伝送を実現できる可能性があります。
各方式にはそれぞれ得意・不得意があります。 以下は方式を理解するための大まかな比較イメージです。 実際の性能は周波数、サイズ、回路、伝送距離などによって変わります。
| 項目 | 電磁誘導方式 | 電界結合方式 | マイクロ波方式 |
|---|---|---|---|
| 利用するエネルギー | 磁界 | 電界 | 電磁波 |
| 主な伝送距離 | 近距離 | 近距離 | 中~長距離 |
| 大電力化 | ◎ | ○ | △ |
| 効率 | ◎ | ○ | △ |
| 形状自由度 | ○ | ◎ | ○ |
| 位置ズレ対応 | ○~◎ | ◎ | ◎ |
| 代表用途 | AGV・ロボット・ドローン・産業設備 | 薄型・面給電・特殊構造 | IoT・センサ・遠隔給電 |
方式は異なっても、 「送電側で電力を変換し、空間を介して伝え、 受電側で再び電気として取り出す」という基本的な流れは共通しています。
入力された電力を、 使用する方式に適した 高周波電力などへ変換します。
磁界、電界、電磁波などを利用して、 送電側から受電側へ エネルギーを伝えます。
受け取ったエネルギーを 機器で利用できる電力へ変換し、 駆動やバッテリー充電に利用します。
実際のワイヤレス給電システムでは、 方式だけでなく、設備条件を含めて検討する必要があります。
数mWなのか、 数十W、数百W、kWクラスなのかによって 適した方式やサイズは大きく変わります。
数mm~数cmの近距離給電なのか、 より離れた位置へ送るのかによって 方式選定が変わります。
停止精度や着地精度が低い場合は、 位置ズレを考慮した 送受電設計が重要になります。
ロボットやドローンなどでは、 受電側のサイズ・重量も 重要な設計条件になります。
電磁誘導方式では、 周囲の金属が磁界や発熱へ 影響する場合があります。
水、油、粉塵、屋外、真空など、 使用環境も方式や構造を決める 重要な条件です。
B&PLUSでは、 一つの方式だけに限定せず、 用途に合わせたワイヤレス給電技術の研究・開発を進めています。
現在の産業用途では電磁誘導方式を中心に 多くのワイヤレス給電システムを展開していますが、 電界結合方式やマイクロ波方式についても研究・開発を進めています。 必要電力、距離、位置ズレ、サイズ、重量、使用環境などを確認し、 用途に適した方式・構成を検討します。