電磁誘導方式の原理・コイル設計・結合係数・Q値・LC共振を解説

ELECTROMAGNETIC INDUCTION WIRELESS POWER

電磁誘導方式ワイヤレス給電

電磁誘導方式は、 送電側コイルに交流電流を流して変化する磁界を発生させ、 その磁界を受電側コイルが受けることで 誘導起電力を発生させるワイヤレス給電方式です。

電磁誘導方式では、 コイル形状、インダクタンス、抵抗、使用周波数、 コイル間距離、位置ズレ、周囲金属など、 複数の要素が相互に影響します。 必要な形状と性能を両立するためには、 コイルだけではなく回路・機構まで含めた設計が重要です。

電磁誘導方式を理解する上で特に重要なのが、 「結合係数 k」「Q値」「インダクタンス」「キャパシタンス」 「LC共振」です。 これらが相互に関係し、ワイヤレス給電の性能を決めています。

1 電磁誘導方式の基本原理

送電側コイルへ交流電流を流すと、 時間的に変化する磁界が発生します。 その磁束が受電側コイルを通過することで 受電側に誘導起電力が生じ、電力として取り出すことができます。

1

送電コイル

高周波の交流電流を流し、 時間的に変化する磁界を発生させます。

2

磁界による結合

送電側で発生した磁束の一部が 空間を介して受電側コイルを通過します。

3

受電コイル

磁束の変化によって誘導起電力が生じ、 機器駆動やバッテリー充電へ利用します。

さまざまなワイヤレス給電用コイル

用途に合わせたさまざまなコイル形状

ワイヤレス給電用コイル巻線

コイル巻線工程

製作したワイヤレス給電用コイル

製作したワイヤレス給電用コイル

2 結合係数 k ― どれだけ磁束を受電側へ届けられるか

送電側コイルから発生した磁束のうち、 どの程度が受電側コイルへ結合しているかを表す代表的な指標が 結合係数 k です。 結合状態はワイヤレス給電性能を大きく左右します。

COUPLING COEFFICIENT

結合係数 k とは

結合係数は、 送電コイルと受電コイルが 磁気的にどの程度結合しているかを表す値です。

理想的にすべての磁束が受電側へ届けば結合は強くなりますが、 実際のワイヤレス給電ではコイル間に空間があり、 送電コイルから発生した磁束の一部は受電側を通過せず 漏れ磁束となります。

そのため同じ回路を使用していても、 コイル配置によって伝送可能な電力や効率は変化します。

MECHANICAL CONDITIONS

結合係数を変化させる要因

代表的な要因は、 コイル間距離、軸方向・横方向の位置ズレ、 送受電コイルの相対的な大きさ、 コイル形状、対向角度などです。

AGV・AMRでは停止位置、 ドローンでは着陸位置にばらつきがあります。 最大結合時だけではなく、 実際に想定されるズレ範囲で 必要な電力を維持できるかが重要になります。

距離 離れるほど一般に結合が低下
軸ズレ 中心位置のズレで漏れ磁束が増加
サイズ 送受電コイルの相対寸法が影響
角度 コイルの対向角度も重要
距離および軸ズレによる結合係数kの変化

距離・軸ズレと結合係数 k の変化

距離およびコイル形状による結合係数kの変化

コイル形状・サイズの違いと結合係数 k の変化

3 Q値とワイヤレス給電効率

結合係数と並んで重要なのがQ値です。 Q値はコイルが高周波で動作するときに、 エネルギーをどの程度損失少なく扱えるかを示す代表的な指標です。

高いQ値=損失の少ないコイル

コイルには銅線そのものの抵抗や、 高周波によって増加する交流抵抗などが存在します。 これらの損失が大きいほど、 投入したエネルギーの一部が熱として失われます。

Q値はインダクタンス、周波数、抵抗などによって変化します。 同じサイズのコイルでも、 導体の材質、断面積、巻き方、 使用周波数などによってQ値は異なります。

ワイヤレス給電では、 結合係数 k とQ値の両方が性能に関係します。 距離を広げることで結合係数が低下しても、 コイルのQ値や共振回路を適切に設計することで 性能を確保できる場合があります。

結合係数kとQ値によるワイヤレス給電性能

結合係数 k とQ値の関係イメージ

ワイヤレス給電では、 結合係数だけ、Q値だけを高くすればよいわけではありません。 コイル、回路、使用周波数、距離、位置ズレ、発熱などを含め、 システム全体として最適化することが重要です。

4 コイル設計で重要な代表パラメータ

電磁誘導方式では、 一つの数値だけで性能を決めることはできません。 インダクタンス、キャパシタンス、共振、抵抗などが 相互に影響します。

5 各パラメータを詳しく解説

ここでは、 電磁誘導方式の設計で使用される代表的な用語について、 ワイヤレス給電との関係を中心に解説します。

INDUCTANCE

インダクタンス

インダクタンスは、 コイルへ流れる電流が変化したときに、 その変化を妨げる方向へ誘導起電力を発生させる性質を表します。 単位はH(ヘンリー)です。

インダクタンスは、 コイルの巻数、直径、コイル長、巻き方、 フェライトなどの磁性材料、 周囲に存在する金属などによって変化します。 一般的には巻数を増やすことでインダクタンスは大きくなります。

一方で巻数を増やすと、 使用する導線が長くなり抵抗が増加します。 さらに巻線間の寄生容量も増えるため、 高周波特性や自己共振周波数にも影響します。

したがってワイヤレス給電用コイルでは、 単純にインダクタンスを大きくするのではなく、 必要な電力、使用周波数、Q値、 サイズ、導線抵抗とのバランスを取りながら設計します。

必要なインダクタンスを確保しながら、 低抵抗・高Q・小型化を同時に成立させることが コイル設計の重要なポイントです。
CAPACITANCE

キャパシタンス

キャパシタンスは、 電荷を蓄える能力を表す量で、 単位はF(ファラド)です。 ワイヤレス給電回路では、 コンデンサを使用して共振条件を設定します。

また実際のコイルは、 純粋なインダクタンスだけではありません。 隣接する巻線同士や、 巻線とフェライト・ケース・周囲金属との間にも わずかな静電容量が存在します。 これを寄生キャパシタンスと呼びます。

低い周波数では影響が小さくても、 使用周波数が高くなるにつれて 寄生容量による影響が大きくなり、 コイルのインピーダンス特性や自己共振周波数を変化させます。

そのため、 高周波で使用するワイヤレス給電コイルでは、 外付けコンデンサだけでなく コイル自身が持つ寄生容量も考慮する必要があります。

LC RESONANCE

LC共振回路

LC共振回路は、 コイルのインダクタンスLと、 コンデンサのキャパシタンスCを組み合わせた回路です。

交流回路では、 コイルは周波数が高くなるほど電流を流しにくくする性質を持ち、 コンデンサは逆に周波数が高くなるほど電流を流しやすくなります。 この二つの性質が釣り合う特定の周波数で、 共振という状態が発生します。

電磁誘導方式ワイヤレス給電では、 送電コイルと受電コイルの磁気結合だけを利用するのではなく、 LとCによる共振を利用することで、 コイル間に空間があっても 効率よくエネルギーを受け渡せるように設計します。

使用周波数と共振周波数がずれると、 電圧・電流条件や伝送性能が変化します。 部品公差、温度変化、周囲金属、 送受電間距離などによるインダクタンス変化も考慮して 共振条件を設定する必要があります。

ワイヤレス給電では、 「コイル」ではなく 「コイル+コンデンサ+回路」を含めた共振システムとして 設計することが重要です。
SERIES RESONANCE

直列共振

直列共振は、 コイルとコンデンサを直列に接続した共振回路です。 共振周波数付近では、 コイルの誘導性リアクタンスと コンデンサの容量性リアクタンスが互いに打ち消し合います。

その結果、 回路全体のインピーダンスが小さくなり、 比較的大きな電流が流れる状態になります。 ワイヤレス給電では、 この特性を利用して 送電側または受電側の電力伝送条件を整えることがあります。

一方で共振時に大きな電流が流れるため、 コイルやコンデンサ、 スイッチング素子、配線などの電流容量や発熱にも注意が必要です。

特に大電力システムでは、 共振状態で各部品へ流れる実電流を確認し、 損失や温度上昇まで含めて設計します。

PARALLEL RESONANCE

並列共振

並列共振は、 インダクタンスとキャパシタンスを 並列要素として構成した共振回路です。

共振周波数付近では、 回路から見たインピーダンスが大きくなる特性を持ち、 直列共振とは異なる電圧・電流特性を得ることができます。

ワイヤレス給電回路では、 必要な出力電圧や電流、 負荷条件、制御方式などによって 直列共振と並列共振を使い分けます。

さらに、 送電側と受電側で異なる共振構成を組み合わせる場合もあり、 システム全体のインピーダンスや負荷変動を確認しながら 回路構成を決定します。

SELF RESONANT FREQUENCY

自己共振周波数

実際のコイルには、 インダクタンスだけではなく 巻線間などに寄生キャパシタンスが存在します。 このインダクタンスと寄生容量によって コイル自身が共振する周波数が自己共振周波数です。

自己共振周波数より十分低い領域では コイルは主にインダクタとして動作しますが、 自己共振周波数付近ではインピーダンス特性が大きく変化します。

さらに自己共振周波数より高い領域では、 コイル本来の誘導性よりも 寄生容量による容量性の特性が強くなる場合があります。

そのため、 ワイヤレス給電に使用する周波数を決める際には、 対象コイルの自己共振周波数を確認し、 十分な設計マージンを持たせることが重要です。

SKIN / PROXIMITY EFFECT

表皮効果と近接効果

導体へ交流電流を流すと、 周波数が高くなるにつれて 電流が導体の中心部ではなく 表面付近へ集中するようになります。 これを表皮効果と呼びます。

電流が流れる有効断面積が小さくなるため、 直流時と比較して実効的な抵抗が大きくなります。 その結果、コイル損失や発熱が増加し、 Q値や電力伝送効率にも影響します。

さらに、 複数の導線が近接している場合には、 周囲の導線が発生する磁界によって 電流分布が偏る近接効果が発生します。 巻数が多いコイルでは特に注意が必要です。

これらの高周波損失を低減する方法として、 多数の細い絶縁導線を束ねた リッツ線がワイヤレス給電用コイルで広く利用されています。

高周波では「直流抵抗が低い太い線」だけでは 必ずしも損失が小さくなるとは限りません。 使用周波数を考慮した導体設計が必要です。
DC RESISTANCE

直流抵抗

直流抵抗は、 コイルを構成する導体へ 直流電流を流したときの抵抗値です。 導線が長くなるほど抵抗は大きくなり、 導体の断面積が大きくなるほど抵抗は小さくなります。

ワイヤレス給電では コイルへ比較的大きな電流を流す場合があるため、 わずかな抵抗でも電流の二乗に比例した損失が発生し、 温度上昇につながります。

特に数百W~kWクラスの大電力システムでは、 導体抵抗による損失を無視できません。 導線径、リッツ線構成、巻数、 コイルサイズなどを調整して抵抗を抑えます。

ただし実際に交流を流した場合には、 直流抵抗に加えて 表皮効果や近接効果による交流抵抗も加わります。 そのため最終的な損失評価では 実際の使用周波数での抵抗を確認することが重要です。

6 実際のワイヤレス給電では複数条件を同時に最適化

電磁誘導方式では、 コイル単体を最適化するだけではなく、 実際に装置へ組み込んだ状態で 必要性能を成立させることが重要です。

必要電力・電流

必要な出力によって、 コイルサイズ、導体、共振回路、 スイッチング回路、整流回路、放熱条件が変わります。

伝送距離

距離が広がると結合係数が低下します。 コイル径、共振条件、周波数などを含めて 必要性能を確保します。

位置ズレ

AGV・AMR・ロボット・ドローンなどでは 停止・着地精度を考慮し、 許容ズレ範囲で必要電力を維持できる設計が重要です。

サイズ・重量

設備側の設置スペースや 移動体側の搭載重量に合わせ、 コイル径・厚み・フェライト構造などを検討します。

周囲金属

近接する金属は インダクタンス、磁界分布、損失、発熱へ影響します。 実際の搭載状態で評価することが重要です。

温度・放熱

コイル、コンデンサ、半導体、整流部などの損失を確認し、 連続運転時の温度上昇を考慮して 放熱構造を設計します。

7 法規・EMC・電磁界の評価

電磁誘導方式では磁界を利用するため、 給電性能だけでなく 周囲の電子機器との電磁両立性、 適用される法令・規格、 人体ばく露などについても確認する必要があります。

法規・規格

使用周波数、出力、装置構成、用途などによって、 国内外の法令・規格や 高周波利用設備に関する手続き等の確認が 必要になる場合があります。

EMC・電磁界評価

周辺機器への放射・伝導ノイズ、 外来ノイズへの耐性、 電磁界の強度などを確認し、 必要に応じてシールド、フィルタ、 磁気設計などの対策を行います。

社内電波暗室でのEMC測定

社内電波暗室でのEMC評価

ワイヤレス給電製品の評価

ワイヤレス給電製品の評価・検証

8 B&PLUSの電磁誘導方式ワイヤレス給電

B&PLUSでは、 1980年の創業以来、 電磁誘導方式を中心とした 非接触給電・ワイヤレス給電技術を研究・開発してきました。

B&PLUS ELECTROMAGNETIC INDUCTION TECHNOLOGY

コイルから回路・機構・評価まで、システムとして設計。

必要電力、距離、位置ズレ、 コイルサイズ、重量、周囲金属、 使用周波数、共振回路、放熱、機構などを含め、 実際の設備へ組み込めるワイヤレス給電システムとして設計します。 AGV・AMR、ロボット、ドローン、 回転・可動部、産業設備など、 用途に合わせた試作・カスタム開発にも対応しています。

9 ほかのワイヤレス給電方式

ELECTRIC FIELD

電界結合方式

送電側と受電側の電極間に発生する 電界を利用して 非接触で電力を伝送する方式です。

MICROWAVE

マイクロ波方式

電力を電磁波へ変換し、 空間を介して離れた位置へ 伝送する方式です。

電磁誘導方式のワイヤレス給電をご相談ください

必要電力、伝送距離、位置ズレ、 コイルサイズ、重量、周囲金属、設置環境などを伺い、 標準製品の選定から試作・カスタム開発までご提案します。

技術相談・お問い合わせ

磁界方式のワイヤレス給電は、電磁誘導が技術のベースとなっていますが、重要な要素部品の1つがコイルです。形状、インダクタンス、抵抗、使用周波数などを考慮して、コイル設計を進める事になりますが、各要素が絡み合う為、希望形状と性能を両立させる為には、高度なノウハウが必要になります。

 様々なコイル形状 コイル巻線機での製作の様子 製作したワイヤレス給電用のコイル


磁界方式のワイヤレス給電はコイルへ交流を流すことで磁界の変化を起こしますが、電力伝送効率の良否はどのような要素で決まるのでしょうか。これは、コイル間の結合係数(k)とコイルのQ 値によります。

    

 結合係数 


電磁誘導では、1次側コイルから発生した磁束が2次側コイルを通過し電力を発生させますが、ワイヤレス給電における、送電側コイルと受電側コイルの結合の度合いを示す指標として結合係数という値が使われています。記号では「k」で表し、絶対値で0~1までの値をとります。結合係数が0の場合、送電コイルから出た磁束が受電コイルへまったく伝わっておらず、結合が取れていない状態です。結合係数が1ですと、漏れ磁束がなく、完全に結合されている状態です。変圧器(トランス)では、結合係数0.99など結合が高い状態で使われますが、ワイヤレス給電では、kが0.15程度でも使用されます。

結合係数は、以下の要素により変動します。

-コイル間の距離

-1次コイルと2次コイルの相対的サイズ

-コイルの形状

-コイル間の角度


以下のグラフを見ると、距離や軸ズレが少ない程、結語係数kが高くなっている事が分かります。また、送電コイルと受電コイルで形状やサイズが異なると、結合係数が低下しています。これは、距離やズレ、サイズ違いにより、これは漏れ磁束が多くなる為です。


距離および軸ズレにおける結合係数kの変化

 

距離および形状における結合係数kの変化



    

 Q値 


コイルの品質(Quality Factor)を表す指標です。Q値が高いほど、高周波にとって損失の低いコイルとなります。Q値は、インダクタンスL、抵抗R及び周波数で定義され以下の計算式が用いられます。

Q値の算出式
(上記において、ω=2nf)


Q値は、0から∞の範囲となり、周波数が一定であれば、形状とサイズ、材料で決まります。これらの計算式より、Lや周波数がある程度高くする必要があることや、コイル材質の抵抗を減らすことが重要と分かります。Q値は、現実的には一定の値に収まり、大量生産されるコイルでは、100前後になります。1000を超えるコイルは技術的に困難で、10以下は実用的ではありません。周波数によって、大きく変化し、ある周波数で最大値になります。

共鳴方式では、高Q値のコイルを用いる事で、低い結合係数(コイル間の距離)を補っています。 

これらの結合係数(k)及びQ値により、ワイヤレス給電の伝送効率が決まり、k・Qの積が大きいほど効率が良くなると考えられています。 

kq積のグラフ


 

磁界方式のワイヤレス給電における代表的なパラメーター

ワイヤレス給電を構成するコイルの特性が非常に重要なことが分かりますが、その中で代表的なパラメータやキーワードについて説明します。これら各要素が絡み合う為、各性質を理解した上、コイル設計を進める必要があります。

 画像 インダクタンス 画像 
 画像 キャパシタンス 画像 
 
画像 LC共振回路 画像
 画像 直列共振 画像
 画像 並列共振 画像
 画像 自己共振周波数 画像
 画像 表皮効果と近接効果 画像
 画像 直流抵抗 画像



画像 インダクタンス 画像


誘導係数とも言い、同じ電流値であれば、インダクタンスが大きい方が誘導起電力が大きくなります。H(ヘンリー)という単位を使います。コイルの巻き数と形状で決まり、同じ形状であれば、コイルの巻き数の2乗に比例します。インダクタンスはフェライトコアや周囲金属によっても変動します。

   ソレノイドコイルのインダクタンス算出式

 
以下の表は実際に5種類のコイルで実測したインダクタンス値です。コイルの径が大きい程、また巻数が多い程、インダクタンス値が大きくなっているのがわかります。



コイルは直流電流をスムーズに通しますが、交流電流に対しては抵抗のように作用します。これを誘導性リアクタンスと言います。電流と磁気の関係で、電流が大きくなると、逆向きの電流を発生させる磁界が発生し、逆に電流が小さくなると、それを大きくする方向に磁界が発生します。誘導性リアクタンスは、周波数に比例して、大きくなります。

   ワイヤレス給電の回路図



画像 キャパシタンス 画像


電気容量の事で、コンデンサーなど絶縁された導体において電荷をどのくらい蓄えられるかを示す量の事です。C(ファラド)という単位を使います。コイル自身も微小ですがキャパシタンスを持っています。

静電容量の算出式

キャパシタンスが交流回路において、電流の流れを妨げる働きを容量性リアクタンスと言います。誘導性リアクタンスとは逆の性質があり、周波数に反比例します。

ワイヤレス給電の回路図



画像 LC共振回路 画像


コイル(L)とコンデンサー(C)で構成された回路で、誘導性と容量性のリアクタンスが等しいときに共振現象が発生します。共振現象が発生すると、コイルを経由して、コンデンサの電極間を電荷が行ったり来たりします。実際には内部抵抗により、エネルギーは減衰していきます。共振が発生する周波数は、計算式で算出する事が可能です。ラジオでは、特定の周波数に合わせる事で、その局の搬送周波数に共振させています。

共振は、コンデンサー(C)の接続位置により、直列共振と並列共振があり、それぞれ特性があります。

LC共振回路



画像 直列共振 画像


共振周波数(fr)で、回路を流れる電流(i)が最大となります。インピーダンスは最小となります。

直列共振回路直列共振回路のインピーダンス特性


画像 並列共振 画像


共振周波数(fr)で、回路を流れる電流(i)が最小となります。インピーダンスは最大となります。

並列共振回路並列共振回路のインピーダンス特性
 



画像 自己共振周波数 画像


コイル自身のキャパシタンスとインダクタンスによって共振が生じる周波数です。誘導性リアクタンスは、周波数が高くなるほど、大きくなりますが、逆に容量性リアクタンスは、低くなります。この2つのパラメーター(インピーダンス)のバランスが取れた周波数を共振周波数と言い、インピーダンスが最大になります。自己共振周波数を超えると、コンデンサとしての機能が支配的になり、コイルとしては機能しなくなります。

 



画像 表皮効果と近接効果 画像


表皮効果とは、導線をつかって交流を流す時、周波数が高いほど、導線の表面しか流れなくなる現象です。その為、ワイヤレス給電では、この対策としてリッツ線(撚線)を使い、効率よく電流を流す事が多いです。

 表皮効果の図解


また、近接効果とは、平行する導線同士が発する磁場によって電流密度にムラが出来て、抵抗があがり、減衰しやすくなる現象です。

 


画像 直流抵抗 画像


インダクタを構成する導体へ直流を流した時の抵抗値です。導線が長いほど、抵抗は大きくなります。断面積が大きい程、抵抗は小さくなります。

抵抗値(R)は、材質によって決まる電気抵抗率(p)、物体の長さ(ℓ)、断面積(A)により、左記計算式で求める事が出来ます。

直流抵抗の算出式

 

ワイヤレス給電の法規と人体への影響について

 

ワイヤレス給電は、電力伝送に電磁波を用いる為、電磁両立性を確立する必要があります。強力な電磁波は、無線機器や電子機器への干渉のみならず、人体への影響を及ぼす可能性が考えられます。

国内では、ワイヤレス給電は、電波法の規制を受けます。電波法上、周波数が10kHz上かつ50Wの出力を超える場合、高周波利用設備として、所管の通信局へ個別の設置届け出が必要になります。(電波法100条第2項、電波法施行規則第45条3項) 


また、国際非電離放射防護委員会(ICNIRP)では、電波放射に対するガイドラインを示しています。このガイドラインでは、使用周波数ごとの電磁放射の規定数値が定められていいます。

過去にビーアンドプラスの製品で測定をした参考値では、ガイドライン値に対して、10kHz~30MH帯域では830分の1、30MHz~1GHz帯域では860,000分の1でした。 


各メーカーは、ワイヤレス給電の性能と同時にこれらの電磁両立性を確立できるよう評価検証や対策に努めているのです。 

     社内電波暗室でのEMC測定の様子 ワイヤレス給電製品の検証

 

 

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