マイクロ波方式ワイヤレス給電は、 電力を高周波の電磁波へ変換し、 アンテナから空間へ放射することで、 離れた場所へ非接触で電力を伝送する技術です。
電磁誘導方式や電界結合方式が 比較的近距離での給電を得意とするのに対し、 マイクロ波方式では電波を空間へ放射するため、 数m以上離れた場所への電力供給や、 移動する機器・複数機器への給電などへ 応用できる可能性があります。
電源から得られた電力を高周波信号へ変換し、 送電アンテナから電磁波として空間へ放射します。 受電側ではアンテナで電波を受信し、 整流回路で再び直流電力へ変換します。
直流電力から高周波信号を生成し、 必要な送信電力まで増幅します。
高周波電力を 電磁波へ変換して空間へ放射します。
空間を伝搬した電磁波を 受電アンテナでRF電力として受け取ります。
整流・電圧変換を行い、 センサーやバッテリーへ電力を供給します。
送電側では、 RF信号の生成、増幅、位相制御などを行い、 アンテナから必要な方向へ高周波電力を放射します。
受電側では、 アンテナで受けたRFエネルギーを整流し、 DC-DCコンバータなどで負荷に必要な電圧へ変換します。 バッテリーへ接続する場合には、 さらに充電制御回路などを組み合わせます。
したがって、 マイクロ波ワイヤレス給電は アンテナだけの技術ではなく、 RF回路・アンテナ・整流・電源制御を含む 一つの電力伝送システムとして設計します。
電波は空間を伝搬するにつれて広がります。 そのため、送電側から離れるほど 同じ面積で受け取れる電力密度は小さくなります。
送電アンテナから放射された電波は 空間を広がりながら伝搬します。 一般的には距離が長くなるほど 受電側へ届く電力は低下します。
そのため長距離給電では、 単に送信電力を大きくするのではなく、 アンテナ利得を高めたり、 必要な方向へ電波を集中したりすることが重要です。
自由空間で送信アンテナから 受信アンテナへ届く電力は、 フリスの伝達公式によって概算できます。
主な要素は、 送信電力、送信アンテナ利得、 受信アンテナ利得、波長、伝送距離です。
この関係からも、 マイクロ波給電ではアンテナ設計が 非常に重要であることが分かります。
マイクロ波・電波によるワイヤレス給電では、 使用周波数によって波長、アンテナサイズ、 指向性、伝搬特性などが変わります。
比較的低い周波数のため、 同じ条件では伝搬損失を抑えやすい特徴があります。 一方、アンテナサイズは大きくなりやすくなります。
低消費電力センサーや 比較的広い範囲への給電などで検討されます。
920MHz帯よりアンテナを小型化しやすく、 指向性を持たせたシステムにも利用できます。
Wi-Fiなど多くの無線システムが存在するため、 キャリアセンスや干渉回避も重要です。
波長が短いため、 小型アンテナや多数素子による フェイズドアレー構成に適しています。
細かなビーム制御や 高指向性の空間伝送へ展開しやすい帯域です。
さらに波長が短く、 アンテナやアレーを小型化しながら 非常に高い指向性を持たせやすくなります。
短距離での高精度なビーム制御や、 特定位置へ電力を集中する技術への 応用が期待されます。
※国内での利用可否・出力・用途などは、 最新の法令・制度・技術基準の確認が必要です。
マイクロ波給電では、 必要な場所へ電波を集中させることが 受電電力を高める重要なポイントになります。
比較的広い範囲へ電波を放射します。 複数の低消費電力センサーなどへ 広範囲に電力を届ける用途で検討できます。
高指向性アンテナを利用し、 特定方向へ電力を集中させます。 受電器方向への電力密度を高めることができます。
フェイズドアレーの各アンテナ素子の位相を制御し、 機械的にアンテナを動かさずに 電波の方向を電子的に変更します。
複数のアンテナ素子から放射する電波の 位相を少しずつ変えることで、 特定方向では電波を強め、 別の方向では弱めることができます。
これにより、 受電器の方向へ電力を集中させながら、 周囲へ無駄に広がる電波を抑えることができます。
アンテナ素子数を増やすほど 細かなビーム制御が可能になりますが、 RF回路、位相制御、熱設計などは複雑になります。
空間を伝わってきた電波を 実際の電源として利用するためには、 受電側で効率よく直流電力へ変換する必要があります。
レクテナは、 Rectifying Antennaの略で、 受電アンテナと整流回路を組み合わせた マイクロ波ワイヤレス給電の代表的な受電デバイスです。
アンテナが受信したRFエネルギーを ダイオードなどで整流し、 直流電力として取り出します。
受電電力が小さい場合には 整流素子の損失も大きく影響するため、 低入力電力で高いRF-DC変換効率を得る設計が重要です。
マイクロ波給電では、 送受電距離、アンテナ方向、 障害物などによって受電電力が変化します。
そこで受電側では、 DC-DCコンバータによって出力電圧を安定させたり、 受電状態に応じて最適な動作点を探す MPPT(Maximum Power Point Tracking)の考え方を利用したりします。
特にセンサーやバッテリーへの充電では、 変動する受電電力をできるだけ有効に利用するため、 受電回路と電源制御の連携が重要です。
空間伝送型ワイヤレス給電では、 アンテナを固定したまま送るだけでなく、 受電器の位置や状態に合わせて 電力の送信方法を変えることができます。
レトロディレクティブ方式は、 受電側から送信される パイロット信号やビーコン信号を送電側で受信し、 その到来方向を利用して 送電ビームを受電器方向へ自動的に向ける技術です。
受電器が移動しても、 到来方向の変化に応じて ビーム方向を更新できるため、 AGV・AMR・移動ロボットなどへの 空間給電に適した技術です。
フェイズドアレーを利用すれば、 送電アンテナ自体を機械的に回転させず、 電子的に高速追従できます。
高指向性ビームを使用するシステムでは、 複数の受電器へ広く同時に放射するのではなく、 給電する対象を時間ごとに切り替える方法があります。
例えば、 バッテリー残量が少ない機器には長い給電時間を割り当て、 十分な電力を持つ機器への給電時間を短くするなど、 受電器ごとに必要な電力量を考慮できます。
受電電力、優先度、稼働予定などを使って ビームを切り替えることで、 限られた送電能力を複数機器で効率よく利用できます。
通常のビームフォーミングが 主に「方向」へ電波を集中するのに対し、 Near-Field Focusingでは 放射近傍界にある特定の空間位置へ 電磁波を集中させます。
フェイズドアレー各素子の位相を調整し、 受電器が存在する位置で 電界が強くなるよう制御します。
比較的近い距離で、 特定位置へ効率的に給電したい場合に 有効な技術として研究されています。
フェイズドアレーでは、 受電器方向へ電波を集中するだけでなく、 特定方向の電波を意図的に弱くすることもできます。
これをヌルフォーミングと呼びます。 人がいる方向や、 他の無線設備が存在する方向へ 電波が集中しないよう制御する用途が考えられます。
ビームフォーミングと組み合わせることで、 「必要な場所には強く、 不要な場所には弱く」という 空間的な電力制御が可能になります。
移動体やセンサーでは、 受電アンテナが常に理想的な方向を向いているとは限りません。 そのため、姿勢変化を考慮した受電技術も重要になります。
電波には電界の振動方向である 「偏波」があります。 送電アンテナと受電アンテナの偏波方向が大きくずれると、 受電電力が低下します。
そこで、 異なる偏波方向を受けられる複数アンテナを配置し、 受信状態の良いアンテナを利用したり、 複数の受電電力を合成したりする方法があります。
これにより、 受電器の回転や姿勢変化による 受電電力の低下を抑えることができます。
異なる方向・偏波を持つアンテナを配置し、 姿勢変化に対応します。
最も受電状態の良いアンテナを 自動選択する構成が可能です。
複数アンテナで受けたRF電力を 合成して利用する方式も検討できます。
マイクロ波方式では電波を使用するため、 Wi-Fiやその他の無線設備との 周波数共用・干渉対策が重要になります。
送電前に使用する周波数帯の電波状況を確認し、 既存無線通信が利用中の場合には 送電を開始しない、 チャネルを変更するなどの制御を行います。
必要な受電器方向だけへ 電波を集中させることで、 他の無線設備へ届く電波を できるだけ小さくします。
利用環境に存在する無線LANや その他のRFシステムを確認し、 システム間で干渉しにくい 周波数・チャネルを選択します。
必要な時間だけ送電したり、 通信状態に合わせて 送信出力や給電タイミングを変更したりすることで、 共存性を高めます。
空間へ電波を放射するマイクロ波ワイヤレス給電では、 給電性能だけでなく、 人への電波曝露、既存無線への影響、 法令・技術基準への適合も重要です。
カメラ、赤外線センサー、 レーダーなどで送電エリアを監視し、 必要に応じて送電を停止・低減する 構成を検討できます。
送電電力、アンテナ利得、 距離、ビーム方向などから 人が受ける電波強度を評価し、 適用される基準を満たすよう設計します。
必要な受電器へ電力を集中しながら、 人や他設備が存在する方向への 電波を小さくする制御も 安全対策の一つとして利用できます。
利用可能な周波数、 最大送信電力、利用場所、 免許・登録・技術基準などは 用途や制度によって異なります。
B&PLUSでは、 電磁誘導方式・電界結合方式に加えて、 電波を利用した空間伝送型ワイヤレス給電についても 研究・試作開発を進めています。
送電RF回路、アンテナ、 フェイズドアレー、ビーム制御、 受電アンテナ、レクテナ、 RF-DC変換、電源制御などを組み合わせ、 用途に合わせた空間伝送型ワイヤレス給電を検討します。 センサー・IoT機器・移動ロボットなど、 ケーブルや接点を設けにくい機器への 新しい電力供給手段として研究・試作開発を進めています。
接触・近接することなく、 離れた受電器へ電力を供給。
受電器位置に合わせて ビーム方向を電子的に制御。
複数の受電器へ 時分割・優先度制御で給電。
必要電力、伝送距離、周波数、 受電対象、アンテナサイズ、 移動の有無、設置環境などを伺い、 空間伝送型ワイヤレス給電の試作・評価をご提案します。
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