LiDAR(ライダー:Light Detection and Ranging)は、 レーザー光を対象物へ照射し、 反射して戻ってくる光を測定することで、 対象物までの距離や周囲の形状を取得する技術です。
1点の距離を測るだけでなく、 レーザーを多数の方向へ高速に照射することで、 周囲の形状を3次元の点の集合である 「3D点群」として取得できます。
設備、建物、構造物、地形などの位置や形状を 非接触で3次元データとして取得できるため、 設備計測、3Dスキャン、寸法確認など さまざまな分野で利用されています。
LiDARの基本は、 レーザー光を対象物へ照射し、 反射して戻ってくる光を利用して距離を求めることです。
LiDARから対象物へレーザー光を照射します。
設備、壁、地面などに当たったレーザー光が反射します。
戻ってきたレーザー光を受光素子で検出します。
光の往復時間などから対象物までの距離を求めます。
代表的な測距方法の一つがToFです。 レーザーを発射してから反射光が戻るまでの時間を測定します。
光の速度は既知なので、 往復に要した時間から LiDARと対象物の間の距離を算出できます。
レーザー光の照射・反射・受光によるLiDAR測距の基本イメージ
LiDARには測定する方向や範囲によって さまざまな種類があります。 代表的なのが2D LiDARと3D LiDARです。
一定の高さの平面をレーザーで走査し、 周囲までの距離を取得します。
断面形状の計測や、 周囲物体までの距離を把握する用途などに利用されます。
水平方向だけでなく垂直方向にもレーザーを照射し、 周囲をXYZの3次元データとして取得します。
建物、設備、構造物、地形などを 立体的に計測する用途に適しています。
2D LiDARと3D LiDARで取得できるデータの違い
LiDARは「最大何mまで測れるか」だけでなく、 視野角、点群密度、測距精度など 複数の項目を確認して選定します。
どこまで離れた対象を測定できるか。 対象物の反射率などによっても変化します。
水平方向・垂直方向に どの範囲を測定できるかを表します。
取得できる点数が多いほど、 より細かな形状を捉えやすくなります。
実際の距離と測定値との差や、 測定値のばらつきを示します。
LiDARの直近には測定できない領域があり、 近距離計測では重要です。
点群をどの程度の周期で 新しく取得できるかを示します。
3D LiDARが取得する代表的なデータが 「点群(Point Cloud)」です。
LiDARで測定した1点1点には、 X・Y・Zの3次元座標があります。
大量の測定点を集めることで、 壁、床、柱、設備、建物などの形状が 立体的に見えるようになります。
写真のように面を撮影しているのではなく、 大量の測距点によって 現実空間の形状をデジタル化している点が特徴です。
各点が3次元空間のどこに存在するかを表します。
反射光の強さを取得できる機種では、 対象表面の状態を見る補助情報として利用できます。
点の間隔が細かいほど、 小さな形状や細部を確認しやすくなります。
3D LiDARで取得した設備・構造物の点群イメージ
LiDARは高精度な測距が可能ですが、 対象物や周囲環境によって取得状態が変化します。
黒色など反射率の低い物体では 戻る光が弱くなり、 測定可能距離が短くなる場合があります。
レーザーが対象面へ浅い角度で当たると、 反射光がセンサーへ戻りにくくなることがあります。
透明物では透過、 鏡面では強い正反射が発生し、 通常の壁面とは異なる結果になる場合があります。
空気中の水滴や粒子でもレーザーが反射し、 ノイズが発生する場合があります。
屋外の強い太陽光などは、 LiDARによって測定性能へ影響する場合があります。
対象物までの距離が長くなるほど 戻ってくる反射光は弱くなります。
対象物の反射率・材質・入射角による取得状態の違い
LiDARから取得した点群は、 目的に合わせて処理することで 計測や3Dデータ作成へ利用しやすくなります。
孤立した点や不要な反射などを除去し、 利用しやすい点群へ整えます。
形状をできるだけ保ちながら点数を減らし、 データ容量や処理負荷を低減します。
異なる位置から取得した点群を 同じ座標系へ合わせます。
2つの点群形状を比較しながら、 位置・角度のズレを合わせる代表的な手法です。
床、壁、柱などの特徴を 点群から抽出します。
点だけのデータから面を生成し、 3Dモデルとして扱える形へ変換します。
LiDAR点群のノイズ除去処理イメージ
LiDARの点群は、 設備や構造物の形状・寸法を 非接触で取得する用途にも利用できます。
点群上の座標から、 2点間距離、高さ、設備幅、 クリアランスなどを算出できます。
複雑な設備や構造物を 大量の3次元座標として取得し、 現況形状を確認できます。
実際の3D計測では、 LiDAR単体の測距精度だけでなく、 点群密度、測定位置、対象物の反射率、 入射角なども結果へ影響します。
寸法精度が重要な用途では、 実際の使用距離・対象物・設置条件で 評価することが重要です。
設備・構造物をLiDARで取得し、点群上で寸法を確認するイメージ
用途によって必要なLiDAR性能は異なります。 最大測定距離だけで選ばないことが重要です。
| 項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 2D / 3D | 平面計測でよいか、立体形状まで必要か |
| 測定距離 | 最小距離から最大距離まで必要範囲を測れるか |
| 視野角 | 水平・垂直方向に必要な範囲を取得できるか |
| 点群密度 | どの程度細かな対象まで計測する必要があるか |
| 測距精度 | 距離・寸法計測で必要な精度を満たすか |
| 更新速度 | 測定対象や使用方法に適した更新性能か |
| サイズ・重量 | 使用する装置へ搭載可能か |
| 使用環境 | 屋内・屋外、温度、雨、埃、太陽光などへの対応 |
| データ出力 | 使用するPC・組込み機器・ソフトウェアへ接続できるか |
B&PLUSでは、 実際の3D LiDARを使用して 測距・点群取得・点群処理などの技術検証を行っています。
現在はLivox MID360などの3D LiDARを使用し、 点群のリアルタイム取得、 点群品質の確認、 PCDデータ保存、 設備・構造物などの3D計測に関する技術検証を進めています。 LiDAR単体の仕様だけではなく、 実際の対象物や使用環境によって 取得データがどのように変化するかを確認しながら 活用技術を検討しています。
LiDARを実機へ搭載した3D点群取得の技術検証例