連載コラム第四弾 最終回!

こんにちは。B&PLUSの櫻井です。前回は「3次元」「小型コイル」「拡張式コイル」という3つの給電アプローチを中心に解説しました。4回目のコラムでは、「ドローン」や「キックボード」にワイヤレス給電を応用した具体的な事例をご紹介します。
えっ!?バッテリーレスでドローンを飛ばせるって本当?
これまでドローンを利用する際に、最もネックになっていたことを挙げるとしたら、やはりバッテリーの充電でしょう。ドローンのサイズや重量にもよりますが、たいていの場合は数十分程度のフライトで電池が切れてしまいます。こまめに充電をしないとドローンが使えないというのは不便ですよね。
しかし、弊社が考案した「ゲート給電」という方式を使うと、なんとバッテリーレスのドローンを実現できてしまうのです! ここでは、どのようにしてバッテリーレスでドローンを飛ばせるのか、その方法について伝授しましょう。
バッテリーレスのドローン試作機。ドローン本体の中央下部に受電基盤があり、その円周状の受電コイルを配置。バッテリーを取り外し、ワイヤレス給電の電力のみで飛行。
通常のワイヤレス給電は、磁束を発生させる送電コイルは1つだけです。一方、ゲート給電は送電コイルを対向に2つ配置するというシンプルな発想によって、それぞれの磁束同士を互いに引っ張りあって、給電範囲を広げてしまうのです。単純計算では給電範囲が2倍になりますが、実験では約2.5倍の距離まで伸展できました。
送電コイルを対向に配置し、ワイヤレス給電の範囲を広げるゲート給電。実験では従来より約2.5倍の距離まで伸展できた。これによりドローンの持続的な給電が可能になる。
ゲート給電のデモ動画をご覧ください。
ドローン本体の円周上に受電コイルを配置しています。送電コイルが下側に1つあると、ある距離まで浮きますが、その途端に給電できなくなり、ドローンが落下してしまいます。しかし送電コイルを上側にも配置し、ドローンを挟み込むようにして給電すると常に浮いてくれるのです。
バッテリーレスのドローンを実現するためにはドローンの重量は課題の1つになりますが、すでに弊社のデモでは、ホバリングを実現できています。あとは第3回のコラムで触れた拡張式コイル給電も併用し、給電エリアを広げていけばよいのです。ペアの送電コイルを横方向に拡張していけば、そのルート上で常にワイヤレス給電が可能になります。
1つのアイデアとして、工場内の設備などで監視したいルートに送電コイルを配置しておきます。バッテリーレスのドローンをリモートで自動巡回させることができるかもしれません。このゲート給電により、ドローン利用時に苦労していたバッテリーの課題を解消してみてはいかがでしょうか
キックボードのワイヤレス給電や、水中ドローンのワイヤレス充電も!?
次は、キックボードへの適用事例です。類似例として、第2回目のコラムで松山市の道後温泉で採用された「電動シェアサイクル」(自転車)(https://www.b-plus-kk.jp/blog/2020/03/30/362)について紹介させていただきました。
実は海外では、日本よりキックボードの利用率が高いという事情があるため、ここではキックボードの事例を紹介します。弊社の標準製品を改造した30Wワイヤレス充電システムです。
このワイヤレス充電システムは、先端に送電ヘッドが付いており、キックボード側の受電ヘッドを対向させるだけで充電が始まります。その際に給電システム側とキックボード側のLEDによって、充電ステータスが視覚的にわかるようになっています。
標準製品を改造したキックボードの30Wワイヤレス充電システム。ボードとシステムを対向させるだけで充電開始。送電側の出力が50W未満なので高周波利用申請も不要。
今回は一般的な充電器よりも容量の小さな30Wを利用していますが、送電側の出力が50W以上になると設備申請(高周波利用申請)が必要になるためです。
ワイヤレス充電は、コネクタレスでメンテナンスもラクになり、安全に充電できるというメリットがあります。金属以外の遮蔽物があっても充電でき、20mmぐらいの距離と軸ズレならば、アライメントも許容範囲で、あまり気にする必要はありません。
また屋外の利用では、雨に濡れてしまう心配があるかもしれません。しかし本システムはIP67保護構造なので、短時間であれば水没しても利用できます。ちなみにIP67は「粉塵が内部に侵入しない」「定められた条件で水中に没しても内部に水が入らない」という基準を満たす等級です。
水中でのワイヤレス給電にも成功。IP67構造なので、水中に長時間浸すことは難しいものの、短時間ならば実際に給電できていることをご理解いただけるだろう。
現在、新型コロナの蔓延により、価値観やライフスタイルが変わりつつあります。他社様の話ですが、動物園の見学のためにロボットを遠隔操作して、子供と一緒に動物の様子を見るというトライアルが行われました。弊社の技術を使えば、水族館でガラス越しに送電システムを面的に設置し、受電システムを内蔵した水中ドローンや自律型無人潜水機 (AUV)を充電しながら、自律航行させることも不可能ではないかもしれません。
このように、まだアイデアレベルのものも数多くありますが、新コロナ渦で発想の転換をすることによって、さらにワイヤレス給電の利用シーンが広がっていく可能性もあります。弊社はワイヤレス給電専門メーカーとして、新たな活用法に対して果敢にチャレンジしていきます。ご期待ください!!
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